今回は、そもそも損害賠償の予定額を定めていないケースについて考えていきましょう。
<平成22年 抜粋 一部改>
宅地取引業者A が、自ら売主として宅地取引業者でない買主B との間で宅地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例により正誤を述べよ。
・当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、損害賠償の予定額を定めていない場合の請求額は売買代金の額を超えてはならない。
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解答
誤
解説
先日お話ししましたが、そもそも損害賠償の額を定めていませんね。
このような場合の損害賠償請求は、民法上の通常の債務不履行に基づく損害賠償請求となります。
つまり請求額の制限などなく、売買代金の額を超える請求も可能です。
(実務ではこんなことはありませんが、、、)
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「手付の額」の理解テクニック
次回はセットで整理をしておきたい「手付の額」の理解を深めておきましょう。
まずは民法557条1項
「買主が売り主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付けを放棄し、売り主はその倍額を召還して、契約の解除をすることができる」。
民法では、賠償額の予定と同時に、手付の額については制限がありません。
今度は業法です。
宅建業法39条(長いので要約します)以下の4点を確実に押さえておきましょう。
1・宅建業者が自ら売り主となる場合に
2・代金の額の10分の2を超える額の手付を受領できない。
3・上記の要件を満たす手付を受領した場合は、解約手付とされ、民法と同様の要件(※)で、契約を解除できる。
(※)民法と同様の要件とは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付けを放棄、業者は倍額召還することで、契約の解除ができます。
4・業法39条2項に反する特約で、買主に不利なものは無効。
次回までにしっかりと整理しておいてくださいね。